Daily life in Tokyo

東京で暮らす日々の楽しいこと、好きなことの記録

ポップソングを作る人たちのマインドとは

ここ10年間ぐらいで今がいちばん、J-POPが楽しい。
在宅勤務のおかげで、そして去年買ったAirPodsと長時間移動が増えたお陰で、音楽を聴く時間が格段に増えた。

もともとR&B、Hip Hopなどダンスミュージック寄りな好みのわたくし、ひと昔前だったらヒットチャートのいちばん上に来るようなアーティストはダサい、と敬遠していたのだけど、最近の人気アーティストは本当に歌も曲も良いなと思う。
特に好んで聴いているのは星野源、King Gnu、米津玄師、藤井風(敬称略)。
この中で同世代なのは源さんだけ、あとは皆けっこう歳下なのだけど、、、曲作りをしている人たちのインタビューを聞いていると、人生何周分ぐらい違うんだろうか、と考えさせられてしまう。
今日は彼らの言葉で自分の中に響いたものを紹介しようと思います。

常田大希(King Gnu)の言葉

今回の記事を書こうと思ったきっかけは、King Gnu常田大希さんのインタビューで目にした次の言葉から。

ポップアートをやっているアーティストが一番頭狂いやすくて病んじゃうらしいんですけど、その気持ちはすごく分かりますね。振り切っちゃったほうが、絶対に楽ではあるんですよ。

最初に読んだのはもう半年も前だけど、今も忘れられず突き刺さっていて。その前にインタビュアーが訊いた「芸術的な表現は妥協しないまま、ビジネスとしても成功を得たいか」というテーマが自分にすごく刺さることだったというのもある。
彼の言葉、考え方は、いわゆる「好きを仕事にするとはどういうことか」の本質を突いているように感じた。

大学生くらいまでの私は割と本気で、真の天才芸術家たちは何もしなくてもぽんぽん内側からクリエイティブなものが生まれるのだろう、と思っていた。そんなわけないじゃんと昔の自分の浅はかな思考に言ってやりたい(私は暇があれば寝ていたい、のび太くんタイプだ)。
だから学生時代最初に職業を選んだ時は「好きを仕事にしよう」と浅く考え、いざ始めてみたら「あれ、なんか向いてない…」と挫折し、たいした努力もせずに次に進む道がわからず途方に暮れてしまったのだった。
本当はそんなんじゃない。世の中でクリエイティブと称される、多くの人に支持される人たちはきっと大半が、凡人の何倍も何十倍も爆速でPDCAを回し続けている人たちだ。なんでずっと気づかなかったんだろう。

自分の「好き」と世の中の「好き」のちょうどいい落としどころを模索していくという途方もない作業をえんえんと出来る人たちなのだ、ということに気がついたのは最近のことだった。

星野源の言葉

「うちで踊ろう」を作った時の気持ちを、発表直後に源さんがインスタライブで、三浦大知さんにむかって話していた。
細かい言い回しは忘れてしまったけど、「苦しい時でも制約があっても、その中で何ができるだろうと考え続けて行動できる人が好きだし、そう居続けたい。それって苦しいことだけど、それができる人は魅力的だと思う」と熱を込めて語っていて、ああ、そういうことか、ととても納得した。
彼は「その過程をできるだけ楽しんでやりたい」とも言っており、ここに「好きを仕事に」の重要なキーワードがあるな、と感じた。

たとえば自分におきかえると、英語や会計の勉強をしている時、ダンスのトレーニングをしている時。気分が乗らないと楽しくないという時もあるし、その中に楽しさを見出してハイになることもある。
自分なりに最近思うことは、自分自身の機嫌をとって、時にはだましだまし、「楽しいかも」と錯覚させることによってモチベーションを維持していくという手法が有効だということだった。
同じことをしていても楽しいと思えるか苦しく辛いと思えるかどうか、それは自分の工夫ひとつで変わったりする。どんなに楽しんでいるように見える人も、もしかしたら(爆速でPDCAをまわしつつ)自分の中でそうやって工夫をしているのかもしれない。

米津玄師の言葉

これだけ売れてるのにずーっとよく知らなかったんです、正直。
で、インタビューで彼が語っている姿を観て、「こんな風に考えているのか」と軽く衝撃を受けつつ、同時にとても腑に落ちた。
「自分の正反対の考えの人の言葉をいったん引き受けてみる、それぐらいの心の余裕を持っていきたい。調和をもって生きていかなければならない。人間は一人では生きていけないから。」
「ポップソングを作るスタンスに近い。音楽を作る上でも、日々生きる上でも一番大事にしている」

これが世界で6億回も再生されている曲を作った人の頭の中身なのだということがよくわかった。こんなふうに考えて曲を作ると、海を越えて言葉を超えてあらゆる人間に届くんだなあと。

彼の一人喋りが聴けるyoutube(ちなみに喋る声がものすごく低くて癒されます)。32:00あたりからの「(自分自身も含めて)何にも信用しない。代わりに、ありとあらゆる事をちょっとずつ信用する。」という言葉はとても奥が深く、自分が生きる上でも取り入れられそうな考え方だな、と感じた。彼ができるだけ自分を客観視して、世の中を俯瞰してみて曲作りをしているのだろうな、というのが分かる。「ポップソングとは、普遍的な事実を紐解いて作るものだ」とも語っていた。

藤井風の言葉

彼の喋るところを見れば、いかに思いやりと愛に満ち溢れた人なのか、そしてお茶目でユーモアのセンスがあるところもセットでわかると思う。
中学生の頃から膨大な数のピアノカバー曲をyoutubeにアップしている彼、クラシックピアノも習っておりインプットの量がすさまじいと思うのだけど、曰く、「バラードはいつの時代も普遍的。アップテンポの曲を聴くとその時代が分かる」のだそう。
曲を作る時はメロディを先行して歌詞は曲を邪魔にしないようにしている、とのこと。まだデビューしたてで、世に発表されているオリジナル曲はアルバム1枚分しかないので、いろいろと未知数な分彼のこれからがとっても楽しみ。

まとめ

こうして並べて書くと私はどうやら、アーティストの曲に惚れ込むのには曲の良さに加えてその人の人間性や「考えていること」が見えて共感していることが前提となってるな、ということがわかった。
インターネットからこんなにたくさんの素敵な言葉や良い気づきを得られるって良い世の中だね。